いのちのバトン

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1年もない寿命ならば、
家で好きなものを食べさせてあげたい

奥様のその思いで、最期までの在宅介護が始まりました。
内地にいる娘さんが長らく泊まってくれて
本当に好きなものを好きな時に食べて
ご家族のにぎやかな声が聴こえて
毎日来てくれるヘルパーさんの顔を見ながら
ご自分の家で過ごしてきました。

9月に入り食事がとれなくなりましたが
ご本人の嫌がることはしないでいきたいと
痛がる点滴などはせずに、口から水分や栄養を取りながら
静かな時を過ごしてきました。

10月30日、明け方に様子がおかしいと連絡をいただき
駆けつけました。
いつもは眠っていることが多いのですが
その時はしっかりと目を開けておられ
そばにいる奥様のお顔をしみじみと見つめていました。
そして、前日より泊まってくれていたご長男さんの
お顔もしっかりと見つめて手もぎゅっと握られました。
ご長男さんが「まだこんなに力が残っているんだね」と
驚かれるほど力強く握っていました。

いのちのバトンを渡されていたのだと思います。

言葉はもう話せませんが、最期見送るのは奥様とご長男さ
とご本人はそう思っていたのでしょう。

そして、ケアマネジャーとして10年関わらせていただきました
この私をも呼んでくださることに有り難い気持ちでいっぱ
でした。この私の手もぎゅっと握って見つめてくださいました。
いのちのバトンをしっかりと受け取った思いです。

訪問看護師さんも緊急で来てくださり、この時は少し落ち着き
ましたので一旦私も戻り、ご家族も朝食を摂りました。

そして、いつもの時間にヘルパーさんが入ってくれて終わるころに
様態が変わり、ご家族とヘルパーさんに看取られて、静かに安らか
に旅立たれました。

往診の先生が来てくれるまで、家でいつものように眠っていました。
やさしいやさしい時間がそこにありました。
いつも来てくれていた他のヘルパーさんも顔を見に来てくれます。

ご家族やヘルパーさんの愛に包まれて、最期までどこにも
行かずに家で過ごしているご本人のお顔を見つめながら
ご本人が満足されているのが分かりました。

心よりご冥福をお祈りいたします。

Rikako